ふしぎのくにのアリス

Original
原作者
Arche Sechsbaum
絵師
つちやりさ
声優
映像監督
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    この女の子を見てごらん。この子はアリスというんだ。小さくて元気でかわいい子さ。川ぞいの土手に お姉さんと さんぽ に 来たところ。ほら、アリスが何か言うよ。「あーあ。つまらないわ」お姉さんはずっと本を読んでいるし、花を つむ のも なんだか おっくうだし。たいくつしていたんだ。
  • そんな時だ。アリスの すぐそば を、白いウサギが とおりすぎていった。アリスは びっくりぎょうてん。何でかって?そりゃ、そのウサギが しゃべったからさ。「たいへんだあ、ちこくちこく!」おまけに ウサギは ふく を きているし、チョッキのポケットから時計までとり出すじゃないか。
  • びっくりだろ?たいくつ していた アリスは、ウサギを おいかけた。走って走って、そしたらなんとーー白ウサギの後につづいて、ウサギの あな に、おっこちてしまったんだ。
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    はじめは びっくりしたけれど、あまり長くおちていく もので、アリスは あたりを 見回すひま ができた。あな の かべは お家の かべに そっくりでね、本だなやら、しょっきだなやら、トビラやら。これがずうっと つづくんだ。アリスは思わず あくびをしたね。「やっぱり、つまらないわ!」
  • ウサギの あな っていうと、ふつうは そこが ウサギの す になっているね。ところがどっこい、アリスが おちた のは、す でも 家でも、ありゃしなかった。ずうーっと つづく、ふしぎな、ほらあな だったんだ。ゆっくりゆっくり、アリスはおちていくーー
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    ほんと ねむりそうになるほど、アリスは長いこと おちていった。それで、さいごには どこへついたと思う?海だよ、あの しおからい 水たまり さ。そこにドボン!いきなりアリスはおっこちた。「あら、海ね!でも海って、こんなに下にあったかしら」
  • 目を 白黒させながら なんとか うき上がろうと していると、アリスと いっしょに おちてきた ものが プカプカういているのに 気づいた。トビラのカギ とか、「わたしをのんで」と書かれたビン とか、「わたしを食べて」と書かれた おかし とかね。
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    なんとかして、アリスは海から はい上がった。いいところに、りく地が あったんだな。ところが そこには もう おきゃく が いてね。どうぶつたち さ。それも、たくさん、わ になって!ドードー鳥を まん中にして、鳥から、けもの から、なんでも いたね。
  • 「おや、あんたもずぶぬれだ、かわかし きょうそう を するかい?」「あら、大きな鳥さん!そうね、なかまに入れてもらうわ」なんと、いつの間にやら、アリスは小鳥くらいに小さくなっていたんだ。
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    すっかり ふく が かわいたアリス。「これからどうしよう?」そこに、また あのウサギが走ってきた。「たいへんだ、ちこくちこく!」アリスはおいかけたけど、ウサギを見うしなっちゃった。そのかわり、一けん の しゃれた お家に出くわした。ドアにかかった ひょうさつ には、シロウサギ。
  • 「しめた、ここが ウサギさんの お家って わけね」いつもなら ノックを するんだけど、今は ちょっと、だいたん に なっていたんだね。アリスは いそいで お家に しのびこんで、それから 二かいへ 走っていった。「とにかく、ウサギさんをさがさないと」
  • かわりにアリスが見つけたのは、一本のビンだ。「わたしをのんで」って書いてある。「いいわ、のめばいいのね」それでのんじゃった。さあ、たいへんだ!アリスは ぐんぐん大きくなってーーついには、お家を こわしちゃった!
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    あたりの じゅうにんが びっくりしてアリスのほうへ かけ出してきた。「いけない!だれか来るわ!」こんなに大きくなっちゃっては どうしようもないので、アリスは こまって にげ出した。むかった先は、近くの森だ。この森に入っていくと、アリスは またもやヘンテコなものに 出くわした。
  • 大きなキノコに こしかけた イモムシが、パイプたばこをふかしてる。これが、なかなか こなれていて、もの知りそうにも見える。そこで アリスは たずねたんだ。「ねえイモムシさん、ちょっと聞きたいんだけど、もとの大きさに もどるには、どうすれば いいかしら?」
  • イモムシは答えた。「キノコを食べてみるのはどうだい?」言われたとおり、アリスは ためしてみた。ところが どうだい、森を つきぬけるほど大きくなって、鳥を ぎょう天させる しまつ。すっかり ぎゃくこうか だったってわけだ。
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    「そっちのキノコじゃないってば」どこからともなく、声がした。とんでもなく大きくなっちゃったアリスは、足元から、こんどは べつの キノコを ちゅういぶかく とって、そいつを ちょこっと カジッてみた。こんどは うまくいって、アリスは もとの大きさに もどることが できた。
  • 「ああよかった。それにしても、だれだか わからないけど、たすかっちゃったわ。ありがとう」声を かけてくれた のは、木の上にいた、にやにや わらいの チェシャネコだったんだ。
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    さて、アリスが ふたたび 歩いてゆくと、なんだか さわがしい声が きこえてくる。「め茶く茶会だよ、め茶く茶会、こわれた時計に、ネムリネズミに、ジャムにバターはいかが!」そこでは ウカレウサギと ぼうしや が、お茶会の まっさい中だった。
  • 「そういえば、のど が かわいたわね」アリスはお茶会にむかった。ところが ぼうしや の お茶会は、何もかも めちゃくちゃ でね、アリスは すぐいやに なっちゃった。お茶会なのにお茶は出ないし、おしゃべりもずっと、ヘンテコなんだ。「こんなお茶会、こっちでおことわりだわ」
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    アリスが つぎに やってきたのは、おしろだった。おしろの にわでは、にぎやかに クローケーあそびを やっている。アリスを見つけたトランプの女王さまは、「あなたも、なかまに入りなさいよ」アリスは大よろこびでなかまに入った。ところが、どうぐが言うことを きかないで しっぱい ばかり。
  • そんなアリスに女王さまが口をひんまげて、「あははは、下手ッぴ!」アリスは内心ではムッとしたけれど、まわりには へいたいさん が 山ほどいるから、だまっておいた。さて、そんなところに、ほら、あの声が。「たいへんだ、ちこくちこく!」「あれ、あのウサギさんかしら?」
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    おいかけてみると、アリスが たどりついたのは りっぱな さいばんしょ だった。王さまもいるし、さっきまで あそんでた女王さまもいる。「パイをとったのは だれか、さいばんの、はじまり!ひこく人の、ジャックは、前に出なさい!」
  • アリスは、しばらく しずかに、ふしぎの国の ヘンテコさいばん を 見ていたのだけれど、どうしたことか、だんだん みんなが小さくなっていくようだ。「なんだか、ヘンなかんじね」これは じつは はんたい で、本当のところ、アリスのほうが大きくなっていたんだ。
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    ぐんぐんと せ が のびて、気づいたら、アリスは さいばん を 見おろすほどになってしまった。そこにいきなり、「つぎのしょうにんは、アリス!」と大声。アリスは びっくり。けどね、アリスは すっかり大きくなっていたから、王さまも女王さまも、もうぜんぜん こわくなんて なかった。
  • それに、いいかげんな言いぶんで、ジャックが せめたてられるのにも、ちょっと いらいら してたんだね。「そんなら、言わせてもらいますけど」アリスは話し出した。
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    「さいばん だっていうけど、めちゃくちゃ じゃない。こんなの、おかしいわ」そんなことを言うアリスに おこった トランプの女王が、言いかえす。「さからうと、ジャックといっしょに、ろうや行きだよ!」どうぶつも トランプも みんな さんせい するから、アリスはもうおこってしまってね。
  • 「なによ、あんたたちなんて、ただのトランプじゃない!」そう言ったとたん、トランプのへいたいたち が いっせいに、トランプカードになってアリスに とびかかって来た。「きゃあ、よしてよ!」アリスはびっくりして、むちゅうになって にげだして――
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    気づくと、アリスは はじめの土手で お姉さんの ひざ に ねそべっていた。「おきなさい、アリス」アリスにおちかかった はっぱ を とってくれながら お姉さんがやさしく言った。「あれえ、トランプはあ?」アリスはまだ ねぼけまなこ だ。お姉さんはそっとわらう。「ずいぶんよくねてたね」
  • 「お姉さま、あたし、とっても ふしぎなとこ に いたのよ」アリスは、ふしぎな ぼうけん のことを、お姉さんに語って聞かせた。「おもしろい ゆめ ね」お姉さんは ゆめ だと思っているけれど――でも、これはひみつだよ――木のかげ からアリスを見ているのは、あのシロウサギじゃないかい?