【色塗り未完成】かわいいパブロ

Original
原作者
Lily Polo
絵師
Lily Polo
声優
映像監督
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    まだたくさんの国のたくさんの人々が船で行き来をしていた頃、
    パップン王国の立派なお城のすぐ側に
    その騎士と犬のパブロは仲良く暮らしていました。
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    その騎士は、パップン王国の王様に仕えており王国の平和を守るために、
    今日も王様の隣について護衛しています。
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    それだけではなく、心優しい騎士は
    木にひっかかった風船を女の子の為に取ってあげたり
    穴にはまった馬車を後ろから押してあげたり―。
    こんなことは、騎士にとって朝飯前でした。
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    王国の人々は皆、騎士をとても頼りにしていました。
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    一方、騎士はパブロをとても頼りにしていました。
    しかし、パブロはそんな騎士の想いには全然気づかずに、
    騎士のようになれる事を夢見て毎日過ごしていました。
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    今日もパブロは騎士の隣にぴったりついて
    騎士のちょっとした仕草までも全てまねる事に一生懸命です。
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    あ!おばあさんのリンゴが転がってきた!
    騎士はサッとそれを拾って、おばあさんに渡しました。
    「騎士さん、ありがとう」とおばあさん。
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    パブロもそれをまねて、残りの転がっているリンゴをおおばあさんに渡しました。
    「あら、ヤダ!歯型がついているわ!」とおばあさん。
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    あ!シーツや服が風にふかれて飛んできた!
    騎士は、サッと服を拾って洗濯屋のおかみさんに渡しました。
    「騎士さん、ありがとう」と、おかみさん。
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    パブロもそれをまねて、吹き飛ばされてきたシーツをおかみさんに渡しました。
    「あら、ヤダ!泥がついているわ!
    もう、あっちへお行き!」とおかみさん。
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    パブロは甲冑を脱ぎ、とても悔しくてみじめな気持で騎士と一緒に家路につきました。
    その時・・・
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    王国の人々の役に立てるように、騎士をまねて頑張ってみても
    パブロはことごとく失敗してしまいます。
    騎士は落ち込むパブロを心配して言いました。
    「お揃いの甲冑をプレゼントするよ!」
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    パブロはとても嬉しくなって、しっぽをフリフリさせながら
    お店のご主人に輝く銀色の甲冑を着せてもらいました。
    パブロが喜ぶ姿を見て、騎士は幸せな気持ちになりました。
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    騎士は言いました。「さあ、家に帰ろう。」
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    しかし、甲冑が重すぎてパブロは身動きがとれません。これには、お店のご主人も困ってしまいました。
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    通り沿いから、こんな声が聞こえてきました。
    「騎士の隣りを歩いているのは、誰だい?」とある人。
    「騎士の犬のパブロだよ。」とほかの人。
    「ハハハ。また随分とかわいいワンちゃんだなぁ。」とある人。
    「騎士に守ってもらえるなんて、幸せねぇ。」と他の人。
    「いいなぁ、いいなぁ、かわいいパブロ」
    通り沿いの人々は、口々にそう言いました。
    パブロの耳にも、ハッキリと聞こえました。
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    「かわいい、なんてヤダ!
    守ってもらうなんて、ヤダ!
    騎士みたいに皆に頼もしい!って思われたいよ!」とパブロは思いました。
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    パブロは鏡にうつる自分の姿を頭のてっぺんからしっぽの先までじっくり観察するものの、やはり自分でも騎士のような頼もしさを見出す事はできませんでした。
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    パブロは、自分は騎士の側にいるのはふさわしくない、と思いました。
    そして、パブロは騎士と過ごした家を出ていきました。
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    何日も何日も、パブロは歩き続けました。
    暑い日も、寒い日も、びしょぬれの日も・・・
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    ある日、前方に港町が見えてきました。
    すると潮風にのって、女性の叫び声が聞こえてきます。
    「誰か、早くお医者さんを呼んできて――――。」
    見ると、風船みたいに丸い男の人がのどをつまらせて青くなっています。
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    パブロは風のように速く走って。お医者さんを連れてきました。
    犬ですから、速く走るのは朝飯前です。
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    「ありがとう。君は命の恩人だよ。」
    パブロは人の役に立てて、とても嬉しくなりました。
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    しばらく歩いていると、
    酒場の前で四角いあごをした店の人と
    荷物を運ぶ船乗りが困り果てて立っています。
    「荷物がバラバラじゃないか。」
    「どれがうちのお店の食材が入った箱かわからないよ。」
    「むやみにすべての箱をあける訳にもいきませんしね・・・。」
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    「僕でよろしければ、
    箱を整頓しましょうか?」
    パブロにとって、嗅ぎ分ける事なんて、朝飯前なのです。
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    「ありがとう。君のおかげで、貿易船ポーロ号の出航を祝う、
    今夜のお祭りの料理は間に合いそうだよ。」と四角いあごをした店の人は言いました。
    パブロは、自分が持っている力で人の役に立てた事を誇らしく思いました。
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    その様子を見ていたピッタという少年は言いました。
    「良かったら、出航の準備をもう少し手伝ってくれないかい?」
    パブロは喜んで、少年の後について行きました。
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    ポーロ号では、たくさんの子供たちが忙しそうに出航の準備をしていました。
    ピッタは言いました。「一緒に、帆を張ったり船に食糧を積んで欲しいんだ。」
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    パブロは慌てて、首を横に振って言いました。
    「できません。できません。
    前にもシーツを泥だらけにしたり、リンゴを運ぶ時に歯型をつけてしまいました。僕にはできません。」
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    ピッタはにこにこしながら、言いました。
    「大丈夫だよ。」
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    パブロは子供たちに混ざりながら帆を一緒に持ち、帆を真っ白なまま、ポーロ号に運び入れました。
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    「さぁ、こっちも皆と一緒に手伝って!」
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    パブロは、じゃがいもやリンゴをやさしく鼻で転がして
    樽につめてから、樽を転がして船に積みました。
    “そうか!工夫をすれば、ちゃんと出来るんだ。”
    パブロは初めて、この事に気づきました。
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    「本当にありがとう。君のおかげで出航に間に合いそうだよ。
    貿易船ポーロ号の出航はパップン王国にとって、とても大事な事なんだ。
    本当にありがとう。」
    ピッタは感謝の気持ちをたくさん込めてパブロに言いました。
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    全ての帆があがったポーロ号を見上げると
    帆先がキラキラ光って見えました。
    パブロは騎士の銀色の甲冑姿をなつかしく思いました。
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    すると、どこからともなくラッパの音が聞こえてきます。
    ポーロ号の出航を祝って、王様が到着したそうです。
    王様は、いつものように騎士を従えているに違いありません。
    パブロは勢いよく駆け出しました。
    小さなしっぽをくるくる、くるくるさせながら。